地球から40光年離れた赤色矮星「グリーゼ12」に、金星サイズの惑星「グリーゼ12 b」が発見されました。この惑星は、TESSとMuSCATシリーズによる観測で確認され、地球の約0.96倍の大きさを持ち、主星を12.8日で公転しています。今後の観測によって、この惑星の大気や生命関連成分の存在が明らかになることが期待されています。
40光年先にある金星サイズの惑星「グリーゼ12 b」
地球から40光年離れた赤色矮星「グリーゼ12」に、地球と金星の中間サイズの惑星が発見されました。
グリーゼ12は、表面温度が太陽より2500度ほど低い3000度の星です。
2019年からすばる望遠鏡の赤外線分光器による惑星探査の対象として2022年まで集中的に観測されてきました。
また、 NASA の宇宙望遠鏡 TESSにより、トランジット法による惑星探査の対象として2021年から観測されており、2023年に地球サイズの惑星が存在する兆候が示唆されていました。
アストロバイオロジーセンター、東京大学、国立天文台の研究者らが率いる国際研究チームは、多色同時撮像カメラ MuSCAT(マスカット)シリーズを用いて追観測を行い、TESSで検出された惑星の兆候が本物であることを確認し、「グリーゼ12 b」と名付けました。
さらに、TESSで得られたデータと組み合わせることにより、この惑星の大きさが地球の0.96倍(金星は0.95倍)であることを明らかにしました。
この惑星は主星をわずか12.8日で公転するほど近くに位置していますが、主星の温度が低いため金星の日射量と同程度であると考えられています。
現在の金星の表層には液体の水は存在しませんが、過去に存在した可能性が指摘されています。
同じように条件によっては、グリーゼ 12 bにも過去に液体の水が存在した、もしくは現在も存在する可能性が、残されています。
今後の JWST による詳細観測や、将来の 30 メートル級地上望遠鏡によるトランジット分光観測や直接観測によって、この惑星がどのような大気を持つのか、水蒸気、酸素、二酸化炭素などの生命に関連のある成分が存在するのか、明らかになると期待されています。
参考文献
NASA’s TESS Finds Intriguing World Sized Between Earth, Venus