宇宙の深淵に輝く新たな発見:ハッブル宇宙望遠鏡がエリダヌス座にある銀河「LEDA 857074」を捉えました。2022年に観測された超新星「SN 2022ADQZ」により注目を集めるこの銀河は、これまでほとんど研究されていませんでした。しかし、ハッブルの最新の観測により、この未知の銀河が再び科学界の関心を集めています。
銀河「LEDA 857074」
NASAが、2024年8月5日に、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として新たな観測写真を公開しました。
捉えたのは、エリダヌス座の方角に位置する銀河「LEDA 857074」。
この銀河は、天の川銀河でも知られる棒渦巻銀河で、中央にある細長い棒状の構造の周囲をぼんやりと渦状腕が取り巻いています。
この銀河の棒状構造の中央付近に写るひときわ明るい光点。これは、2022年後半にハッブルが観測した超新星「SN 2022ADQZ」です。
この超新星の発見により、LEDA 857074の観測に繋がりました。
LEDA 857074はこれまで発見されてから、研究対象とならず、位置情報以外に過去の研究データはありませんでした。
毎年数万もの銀河を捉えるハッブル望遠鏡ですが、LEDA 857074は超新星が発見された数少ない銀河ということで、再び科学界からの注目を浴びるようになったのです。
ハッブル宇宙望遠鏡の強み
1990年に打ち上げられて以来、地球を周回しながら宇宙の姿を詳細に捉えている、ハッブル宇宙望遠鏡。
宇宙が膨張しているという結論を出した米天文学者、エドウィン・ハッブル(1889〜1953年)にちなんで名付けられました。
主に可視光観測の反射望遠鏡です。
地球の上空約550キロの場所にあり、大気の影響を受けないため、地上の望遠鏡と異なり天体を高精度に観測します。
これまでさまざまな天体の観測を行い、銀河や太陽系外惑星、誕生直後の宇宙などの観測などで大きな成果を上げてきました。
NASAによると、ハッブルは数十億光年離れた遠くの超新星を識別することができるそう。
地上望遠鏡は超新星の光を銀河の光から分離するのに苦労するため、今回の観測は宇宙望遠鏡であるハッブルだからこそ得られた成果なのです。
超新星の発見により注目
今回観測されたSN 2022ADQZは、白色矮星を含む連星が関わるとされる「Ia型超新星」でした。
天文学者チームは、発見した超新星を用いて、宇宙の膨張速度を測定します。
Ia型超新星は、爆発する星の明るさが予測できるため、遠い宇宙の距離を測定したり、宇宙の膨張速度を計算することに大いに役立つのです。
しかし、特定の銀河で超新星が発見される可能性は高くありません。
貴重なデータとなる超新星を観測したおかげで、注目され始めた銀河LEDA 857074。
今後は研究対象となり、「どのくらいの頻度で超新星を形成するのか」など、宇宙爆発の研究にさらなる貴重なデータを提供してくれるでしょう。