NASAとESAのハッブル宇宙望遠鏡が、壮大な超新星残骸である網状星雲の3つの見事な領域を撮影しました。
この新しい画像は、5,000-10,000年前に起きた宇宙の大爆発が残した、繊細で幻想的な構造の美しい姿を私たちに見せてくれています。
超新星爆発の残骸
私たちが普段意識することはありませんが、夜空できらめく星々は永遠に輝き続けるわけではありません。
星の寿命はその質量に大きく依存し、質量が大きいほど寿命は短くなります。
太陽よりもはるかに重い星が燃料を使い果たすと、その星は崩壊し、超新星爆発という壮大な最期を迎えます。
この爆発で放出される光は、一つの銀河全体の輝きを凌駕するほどの強さを持ちます。
爆発する星は周囲に巨大な泡状の構造を作り出し、その縁には星の残骸と爆風で掃き寄せられた物質が集まります。
この輝く多彩なガスの殻は「超新星残骸」と呼ばれ、爆発が収まった後も長く宇宙空間に残り続けます。
網状星雲の構造
ハッブル望遠鏡が捉えた新しい画像には、夜空で最も壮観な超新星残骸のひとつである網状星雲の細かい構造が写っています。
全体の殻は約3度の広がりを持ち、これは満月約6個分に相当します。
秒速60万キロメートルで移動する破片が周囲のガスに衝突することで何百万度もの高温に達したガスは、その後冷却され、この鮮やかな光を放っています。
観測された構造には、衝撃波の端を真横から見た鋭い繊維状の部分と、正面から見た拡散した発光部分という2つの特徴的な形状が見られます。
宇宙の化学進化における重要性
超新星とその残骸の研究が重要視される理由のひとつは、これらが宇宙における重元素を作り出す役割を果たしているからです。
私たちの銀河では1世紀に数個の星しかこのような壮大な最期を迎えませんが、これらの爆発こそが、宇宙に存在する鉄よりも重いすべての元素を生み出す源なのです。
銅、水銀、金、ヨウ素、鉛といった地球上で見られる多くの元素は、何十億年も前にこうした激しい現象の中で作らたものです。
技術的詳細
白鳥座にあるこの天体は、地球から約1,500光年の距離に位置しています。
「白鳥の輪」としても知られ、その中でも特に印象的な部分が「魔女のほうき星雲」と呼ばれる領域です。
ハッブル宇宙望遠鏡の広視野惑星カメラ2(WFPC2)で撮影されたこれらの画像は、異なる3種類の画像を合成して作られています。
それぞれの色は、衝撃波で励起された異なる原子からの放射を示しており、青は酸素、緑は硫黄、赤は水素を表しています。
私たちの体を構成する元素も、かつての星々の中で作られ、このような壮大な爆発によって宇宙空間にばらまかれた星の一部であることが改めて実感させられます。
参考文献