イタリアの研究者らがNASAのマゼラン探査機による1990年代のデータを再解析した結果、観測当時金星で火山活動が起こっていたことが明らかになりました。
この発見は、2023年に確認された別の金星の火山活動に続くものであり、金星が想像以上に活発な惑星である可能性を示唆しています。
金星での火山活動の新たな証拠
太陽系内の惑星・衛星には、数多くの火山が存在していることが知られています。
火山は、惑星内部の溶岩が噴出して形作られたものであるため、惑星や衛星の地下の情報を我々に教えてくれる非常に有用な存在です。
太陽系内にありふれている火山ですが、そのほとんどは現在活動を停止している死火山です。
現在も活動している火山は、木星の衛星であるイオと地球でしか確認されていませんでした。
イタリアの研究者らが1990年代にNASAのマゼラン計画で取得されたアーカイブデータを再解析したところ、観測期間に2つの火山が噴火したことが明らかになりました。
これは、2023年に別の活動中の火山が発見されたことに続く発見です。
火山活動の詳細
研究者らが分析したデータは、NASA(アメリカ航空宇宙局)が1989年に打ち上げた金星探査機マゼランのデータです。
1990年から1992年にかけ、金星の全地表の98%のマッピングを行い、金星地表の地形を明らかにしました。
研究者らは観測された地形データを分析し、アイストラ地域にあるシフ山と、火山地形多数存在するニオベ平原1990年の地形と1992年の地形が異なっていることを確認しました。
これらの変化の原因として、砂丘の変形や大気の影響も含めて検討した結果、この2年間に発生した火山活動によって噴き出し、固化した溶岩である可能性が高いことがわかったとのこと。
噴火によってシフ山では30平方km、ニオベ平原では45平方kmにおよぶ量の岩石が生成されたと推定されています。
この研究により、金星がこれまで考えられていたよりも活発に火山活動を行う、活動的な惑星である可能性がでてきました。
金星がなぜ地球と異なる進化の道をたどったのかについて、貴重なヒントになるかもしれません。
参考文献
Ongoing Venus Volcanic Activity Discovered With NASA’s Magellan Data